『襲いかかってくる魔物、暗闇の中での恐怖、突然の悲鳴!
あなたはどこまでこの世界に耐えられるか!
新感覚恐怖系アトラクション“密室遊戯”クラウンランドにいよいよ登場!
全ての恐怖が終わった時、その隣にはいったい何が・・・』
ピッ。
「あーッ!兄貴ッ、オレ、見てたのにーッ!」
「え?一春ちゃん、寝てたんじゃなかったの?」
「寝て無いッ!」
寝てたように見えたけどなぁ。
「本当は見てたんだよッ!ううう・・・・」
あ、ふて寝してしまった。
・・・え?お前、さっきから喋ってるけどだれだって?
稲葉硝、ただいま某国立大学の法学部学生。
弁護士目指してがんばっている、極々普通でありたいと願う一青年だ。
「いいですわね、遊園地。楽しそうで」
「万冬ちゃん、遊園地行ったことあるの?」
たおやかな着物姿、16だって言うけどとてもそうには見えない艶やかな美人
白風万冬しろかぜまふゆちゃんは名家、古神家次期当主である一春ちゃんのお守役だ。
白風家は代々医者の家系で、万冬ちゃん自身も医者になりたいそうな。
「・・・・いいえ、ありませんの。だから憧れますわ」
「じゃあ、明日行きませんか?弁当持って」
麻希さんは記憶喪失、身元不明の家政夫だ。一春ちゃん曰く、『M川の橋の下で拾った』
らしい。古神グループの調査部で現在彼の身元は調査中だ。
家事全般得意だが、料理がめちゃうまい。
彼の手作り弁当ならば、俺も歓迎だが・・・・・。
「遊園地って、お弁当の持ち込み禁止してなかったっけ?」
「皆何をウジウジとテレビ見てだらけているんだ!」
ドアが蹴破られた。
「おかえりなさいませ、クロード様。皆で明日遊園地へ行こうというお話をしておりましたの。
クロード様もいらっしゃいますか?」
「決まってるだろう、僕も行く!そしてあのぐるぐる回る奴に乗る!」
あのぐるぐる回る奴・・・・観覧車ではないだろう。
アラン・クロードさんはイギリス国籍の日本人とイギリス人のハーフだが、
顔がとても美しい。美しい・・・・なんて使うのは照れるけど、そうとしかいい様が無いのだ。
性格はスリルとスピードを好み、複雑な話は嫌いなもんだからその前にぶちこわす。
それで会社社長だと言うのだから世間って面白い。
「うん、そうだね。じゃあ、皆で行こう!皆で」 そう言いながら一春ちゃんはケータイを取り出した。
「あっ、もしもし、千里?あのさ、明日空いてる・・・空いてる?そりゃよかった。
うん、皆で遊園地行こうってことになって。え? 衆人環境に寄り付くのは危険だから
なるべくお控えください?・・・いーじゃん。千里も来るんだし。あ?十馬と百太朗も?
えー・・・二人とも用事あるんじゃないか?何?遊園地なんていう危険な環境に行くんだから四人全員行くのは当然だ ・・・・わかった。あ、万冬には言わなくていいよ。今ここにいるから・・・・・・
・・・・何?後で万冬によろしく言っといてくれ?わかった。じゃあな」
電話を切り、一春ちゃんは俺のパソコンを借用してネットを始めた。
明日行く遊園地の情報を収集しているらしい。マメだなぁと思いつつ、俺は枝豆をつまんだ。
「一春様、普通は公式ホームページを見るのでは?なぜアングラ系のサイトをご覧になっているのですか?」
「こっちの方が詳しく載ってるんだよ。誇張も無いしな」
「人のパソコンでそんなもの見るな!」