「で、どうしてこんな状況になってるのかな?」




「知るかあああああ!」
ペンキすら塗られてないコンクリートむき出しの部屋の中で、
『カフェイン中毒。』管理人こと一条葵は、絶叫していた。
その管理人を冷え冷えとした目で見つめているのは、天才二人である。
1人は古神一春。
古神家次期当主、古神グループ次期総裁、そして巷で噂のコンピューター
クラッカー『機械仕掛けの天使』メカニクル・エンジェル その人である。
もう1人は蓮藤時雨。
『オールリバース・ハッカー』『斬ったのに斬れていない術の使い手』、
座右の銘は『私の辞書に不可能は無い』。綺麗な男顔の持ち主と
ただいま現在、一条の中で『ぜひお友達になってみたい人ベストテン』
ランキングでトップを独走態勢中である。(←そんなランキング、どうでもいい)
「事情を説明しよう!」
一条は突然叫ぶと、ふたりのほうを向き直った。
「私はピアノへ行く途中に、君たちのコラボをおもいついたんだ!
時雨さんの親の楓藤さんにご許可を頂いて、こうやってここに君たちを連れて来たんだ!」
「はい、それで?」
「君たちにシリアスな会話をやってもらおうと思った!だが、それにはそれ相応のシチュエーション
が必要だ!だからこの閉所恐怖症には失神間違いなしのこの部屋に連れて来たんだ!」
「殴っていいですか」
「やだ・・・あああ刀とワイヤーはやめてェ」
「話を続けろ」
「さあここに閉じ込められて、しっかり話し合ってくれ!」
ピピピピピピピピ。
一条の胸のカラータイマーが突然鳴り出した。
「嗚呼、時間だ・・・それではさようなら」
「ちょっとまて!なんでさっき、知るかあって叫んでたんだ?」
「ツッコミ不可!」
「消え失せろ!」
一条葵はパッと消え失せた。




後に残ったのは、古神一春と蓮藤時雨のみ。
「すいません、変な管理人で」
「いいえ」
「ハハハ、後で管理人締めてやらア」